虫屋の友人Yさんは、夕食が済んだ後に手を洗い奥さんに叱られた。なぜなら食事前に昆虫の標本作成をしていて、そのまま手を洗わずに食事をし（普通はこの段階で叱られると思うが）、食事が済んでから標本作成作業の続きをするために手を洗ったからだという。Yさんの凄いところは、なぜ叱られたのかが理解できないと言い張るところだ。食事後に大切な標本を作るため、標本が汚れないように手を洗って何が悪い？
友人Uさんは動物の糞に集まるコガネムシを集めている。野外に出ても良さそうな環境・タイミングで野生動物の糞が落ちているのを見つけることは困難である。そこでUさんは糞を自宅の冷蔵庫にストックしておき、良さそうな場所・タイミングにそれを設置するという。奇跡的に奥さんの了承は得られているらしいが、食料品と冷蔵庫は分けているのか心配だ。
極端な例をあげたが、虫屋は似たり寄ったりかも知れない。
釣りのように釣果が食卓にあがることも無いし趣味が実益を兼ねることもほとんど無いだろうから、虫屋（昆虫採集）という趣味が家族の理解を得ることは難しいだろう。
しかし虫屋は意外と家庭的だと思う。童心を理解しているので子供達と遊ぶコツも心得ているし、何より虫のことを知っているので子供達の尊敬を集めることもできる。虫にうつつをぬかしているので、酒や女や博打に溺れる人も、たぶん少ない。そして小さい子供のオムツを換えたり鼻水を吸う道具で鼻水を吸うことなど、全く苦ではない。なぜならうんちは見慣れているし、後者に至っては吸虫管そっくりな道具で誰より使い慣れているからだ。
ということで、虫屋は家庭的だと思う。だからもう少し虫屋はモテても良いと思う。
