まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

プレスリリース

今年になってプレスリリースを2つ行った。どちらも発見に面白い事象が含まれていて一般受けするかもと思う気持ちがあるものの、自分のモロ専門だったり分類学的に面白いものだったりする訳ではないので、プレスリリースをするか悩んだ。研究室の吉田君や理学部の今田さんと話して、異口同音に日本語で解説しておくことが大切、と言われその通りだと思いなおした。これからも一般ウケしそうな内容が含まれていたら積極的にプレスリリースを出していこうと思う。

1本目のプレスリリースは、ケムシネタだったからか、新聞などに取り上げてもらえなかった。数日前に石手川のエノキを見上げると、例年以上に発生しているようで終齢幼虫がベタベタ付いていた。葉が食い尽くされたヤドリギの株もあった。こんなにいたら飼育も簡単だったのに!研究ってそんなもんだよな。

これが大発生したら大問題になるだろう。そうなったら先のプレスリリースが陽の目を浴びるかもしれない。飼育は面倒だけど写真だけ撮ろうと手を伸ばしたけど採れず、でも刺毛があったようで、左手の甲が少しかぶれてしまった。

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雑誌名

今からもう10年近く前、新しい和文誌を発行する際の編集長になった。させられた、というのが正確かも知れない。今だから書いても良いと思うが、私は「甲虫ニュース」という名前が好きだったのでその名前を継続することを推していたが、様々な意見が寄せられ、「さやばねニューシリーズ」という名前になった。「さやばね」は、日本鞘翅目学会が1975年から1988年まで12号出していた雑誌でかなり示唆的で面白い論文も掲載されていたとても良い雑誌だった。よって、この名前も悪くないと思ったが、オリジナルとは違う(学会も雑誌の形式も)雑誌なので、「ニューシリーズ」というのが付くことになった。

この「さやばねニューシリーズ」の雑誌名は、上の経緯を見ればわかる通り「さやばね」でも「さやばね・ニューシリーズ」でもない。加えて、英語表記も「Sayabane」でも「Sayabane, Tokyo, (n.s.)」でもない。「Sayabane new series」である。後半のところをNew Seriesにしたり、略してn. ser.などにしたりするのは許せる範囲。

Sinocymbachus

Chang L-X, Bi W-X, Ren G-D (2020) A review of the genus Sinocymbachus Strohecker & Chûjô with description of four new species (Coleoptera, Endomychidae). ZooKeys 936: 77–109. https://doi.org/10.3897/zookeys.936.48577

Sinocymbachus属を再検討し中国から4新種を追加し、全14種中12種を図示している。虫はカッコいいし写真はきれいだし良い論文。

実はこの属には興味持っていて調べようと思っていたが、著者からすでに投稿中であることを聞いていた。論文を見る限り、もうすべきことあまり残っていないような状態・・・・それより、何気にこの論文内に幼虫を含めた生態写真が掲載されていて驚いた。本属の幼虫は未知だし結構変わった形をしているのだが、これは自分もベトナムで採集していて属不明のまま置いていたものだった。

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ラオス産。種は未同定。

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ベトナムで撮影した本属の幼虫と思われるもの

タマムシのロックアート

Mahmood KOLNEGARI, Mohammad NASERIFARD and Mandana HAZRATI (2020) Discovery of Buprestidae rock art in central Iran suggests historical relationship between jewel beetles and mankind. Entomological Science, 23: 193–195.

イラン中央部の岩で見つかった4万年~4千年前に書かれただろうロックアートがおそらくタマムシを描いたものだろうという報告。あ、これ僕がいたずらで描きました、という感じの出来。まぁ確かにelongateなところとかタマムシに見えないことはない。

この雑誌にしては毛色の変わった論文。

日常

編集作業続行中。今回はリストが多く、イタリックにすべき作業が多すぎて時間がかかりまくっている。予定通り進まない。

お昼前に水槽管理でミュージアムへ。いじめられているタイバラがいて気にしていたのだが居なくなってしまった。誰かの腹の中に入ってしまったのかもしれない。あとは元気。せっかくなので標本室でちょっと標本調査をして戻る。ここ数日調べている某科のベトナム産の標本を3つみつけ、何となく違うと思ってゲニを抜くと未記載種だった。これで論文を書くネタになったが本当に書くのか?

夕方からオンライン会議。やっと来週から少し緩くなって県外出張も許可制だけど行けるようになった。しかしシーズンは無情なほどに過ぎていきつつある。

日常

昨日の続き。ベトナムラオスの標本を同定したら3既知種であった。どれも迷いなく同定できた。ただ、新規性が無くて論文化するのは厳しいかも・・・・

夕方にZOOM会議。別の学部のものであったが、遠隔授業に関する方針について。確かに遠隔授業では難しい内容もあるし変な制約をされてしまうとますます困難になるよな。自分は一コマだけだし野外で遠隔ではなくて実施できそうなので大丈夫そう。

ここのところ、毎日査読が舞い込む。分野が違い過ぎたりpredatorっぽい雑誌からだったりするのは断っているが、ついに4本も溜まってしまった。編集作業も途中なのに。

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本棚から出てきた自己啓発本。学生の時に下宿のポストに入っていた。捨てるに捨てられず今も持っている。

日常

ちまちま書いていた原稿が一応すべて埋まる。これから推敲予定。ワードに貼り付けた図を含め65枚の準勝負論文。ZTに投稿したいと思っている。

同定作業。2ミリほどの黒くて丸い特徴がほとんどないようなベトナム産の昆虫にしっかり名前が付いていて、交尾器を解剖しないとだめだけど、いくつかの文献に当たるだけで同定できるって感動。最近は、未記載種を見つけることも楽しいが、しっかり既知種が同定できる嬉しさもあると思えてきた。日本みたいに図鑑が整備されていない地域の昆虫だとなおさら。専門ではないグループだけど、ちょっと気になっている仲間。

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