まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

小豆島のワダオオアリガタハネカクシ

ワダオオアリガタハネカクシPaederus (Megalopaederus) wadai Scheerpeltz, 1957は、近畿~中国,小豆島,九州に分布する。本亜属の種は四国本土からは知られていないので、小豆島の分布記録は特記される。

伊藤(2007)は、大阪市立自然史博物館の標本の中から1955年に小豆島で採集された本種を見出し、小豆島初記録として報告している。そして古い図鑑に出ているコアリガタハネカクシの四国および小豆島の記録は、この標本が基になっているのだろうと推測した。しかし、この伊藤が見出した標本は、既に林(1956)により”アリガタハネカクシPaederus poweri Sharp”として報告されていた(=コアリガタ)。伊藤(2007)は古い標本を発掘しその重要性を再認識したことが評価される。それ以上に、古い報告の証拠標本が適切に管理され残されていることが素晴らしいと思う。

 

伊藤建夫(2007)Megalopaederus 属ハネカクシの分布について.ねじればね,(120):13.

林匡夫(1956)小豆島の昆虫, 12-17. 自然研究シリーズ3 続小豆島の自然,1-20.大阪市立自然科学博物館.