まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

アジアのメダカチビドロムシ亜科

Yoshitomi, H., 2019. Review of the Asian Thaumastodinae (Coleoptera, Byrrhoidea, Limnichidae), with phylogeny of the genera. European Journal of Taxonomy, 583: 1-45.

 やっと懸案の論文が出た。アジアのメダカチビドロムシ亜科を再検討し7新種を記載した。本亜科の4属の系統解析を行い、属の系統関係や隔離分布(中南米とアジアに分布)について考察を行った。隔離分布っぽいけど、海浜性のMexico属は太平洋に広くいそうなので隔離じゃないかもね、という話。

日本産は、ババチビドロムシ属に大きな変更があった。もともと、アジアから知られるBabalimnichus属は、メキシコから知られていたMexico属の新参異名となった。また、日本からは1種のみが知られていたが、与那国島のものが台湾の種と同定され(誤同定で報告されていた)、小笠原から1新種が記載された。つまり日本産は下記の通りとなる。

タイワンババチビドロムシ Mexico taiwanus (Satô, 1994)  与那国島;台湾

オガサワラババチビドロムシ Mexico ogasawaraensis Yoshitomi, 2019 小笠原

ババチビドロムシ Mexico masamii (Satô, 1994) 本州~西表島

タイワンババとババは、雄交尾器の形状もよく似ているが、オガサワラババは全然違う。ババは日本各地の標本の雄交尾器を見てみたが変異がほとんどなかった。伊豆諸島のものもババなので、小笠原だけ特殊なことがこのことからも判る。同じような環境に生息するイソジョウカイモドキの分布とどう違うのかを見てみると面白そう。

 (追記):あまりやり取りのない研究者から良い論文だとRGでコメントを貰った。わざわざコメントくれなくてもと思ったが、わざわざくれると嬉しくもある。

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