まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

環境調査会社

環境アセスメント関連などの生物調査を行う小さな会社に勤めていた。アセス会社は環境破壊に加担しているみたいで嫌だ、という意見を聞くことがあるし、自分自身も学生の頃にそう思っていた。しかし、あるアセス会社に勤務する人に、環境アセスメントに関わると良くも悪くも人間が自然環境に対してどんな選択をするのかが判るよ、と学生の頃に言われ業界に飛び込むことに決めた。在職中は確かに経済を優先させ環境に対する負荷が大きな選択をして悲しい思いをすることも多かったが、そうではない選択をすることもあり、総じて勉強になることが多かった。

勤めはじめて驚いたのは、各生物群の専門家が会社にいたこと。もともといろんな生物が好きな自分にとっては刺激的な職場だった。余裕があれば、昆虫以外の調査にも積極的に連れて行って貰った。植物調査の補助や哺乳類の捕獲調査などなど。

昆虫と鳥類だけはだれにも負けないなどと思い上がっていたが、入社してすぐにこてんぱんにやっつけられた。例えば、ホオジロカシラダカアオジの地鳴きは聞き分けられる、と自信満々だったが、会社の先輩たちはクロジやノジコの地鳴きも知っていた。基本を知っていることは重要だと先輩たちは褒めてくれたが、クロジやノジコは見たこともなかったし地鳴きで区別しようという考えすらなかった(先輩たちも完全には聞き分け出来ないと言っていたように記憶する)。昆虫でもそうだった。

大きな現場だといろいろな調査項目を一度に調査することがある。そんな時、珍しい虫を採ってくるのは決まって植物調査チームだった。昆虫調査チームがさんざん探して採れなかったものを、なんとなく珍しそうだったから拾ってきた、と渡された時の敗北感といったら。

昆虫調査でしっかり調査したい時は、農大や北大から助っ人を呼んだりした。ある調査では、佐野君、杉島君、松本さん、島田君、伊藤君に入って貰ったことがあった。いま思えばアベンジャーズみたいだ。

肉体的にも精神的にもたいへんなことが多かったが、楽しく仕事ができた。同僚にも同業他社のライバルにも客先担当者にも恵まれていて、あまり嫌な思いもしないで済んだ。報告書で煮詰まっても、現場で外に出ることですっきりできたのは外好きの自分にはぴったりだった。