まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】これからのエリック・フォファーのために

荒木優太(2016)「これからのエリック・フォファーのために 在野研究者の生と心得」東京書籍
在野研究者の勧め、のような内容で16人の先達を紹介しつつ著者が考える40の在野研究の心得を説いている。先達の来歴や苦労話などはどれも面白いが、それらはナビゲーションにはならない。でもそれらを見ることにより何らかの得られるものがあるだろう。
読みやすい文章で、有意義で面白い本である。いくつも心の琴線に触れる文章があった。どちらかと言うと文系に偏った話にも感じるが、理系でも十分に得るものがあるし、たとえプロで研究していても読むべき本だと思う。いろいろ得られるものがあるだろうし、プロは定年になった瞬間に在野になってしまうのだから研究を続けたいのであれば、継続的な研究費を得るか本書を読んでおくかのどちらかだと思う。とにかくお勧めの本。
博物学、特に昆虫の研究者には、在野研究者が多いしそのプロフィールも様々である。ぜひ本書のような短い伝記が拾い集めてある本が欲しいなぁ。堅苦しいものであればいくつも出ているし、白畑孝太郎のようにすごい伝記が出ている人もいるけど。