まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

新人

今年は1年生が5人、外部から進学のM1が1人増え、研究室も盛況だ。その中にはいわゆるバリバリの“虫屋”が何人かいて、本当に楽しそうに虫採りをしているのを見ると、自分の学部生の頃のことを思い出す。いまではだいぶん擦れてしまったが、あの頃の自分は本当に一途に虫のことばかりを考えていた。
私が虫に目覚めたのは高校生だった。昆虫の研究をしたくて進学したが、受験に失敗し半分失意のまま第一志望ではない大学に進学し入学式の翌日に研究室を訪ねることになる。そしてその日に机をもらい、6年間の研究室での生活が始まった。その頃の私は、生意気だったし知識ばかりの頭でっかちだった。単語カードに学名を書いて覚えたり一升瓶に水を入れてそれで手首のスナップを鍛えネット捌きに磨きをかけようとしたりするくらい、虫に一途だった。恋愛は虫の妨げになるとすら思っていた。本当にイタイやつだった。
そんな面倒なヤツに対し、研究室の先輩や先生は温かい目で見ながらいろいろ教えてくれた。虫だけではダメな事、礼を尽くすことが重要な事、計画性が大事な事、客観的に自分を見つめ直すことが必要な事、人生で重要なことはその研究室での6年間にほとんど学んだ気がしている。
映画や音楽、読書、恋愛、野球など、虫と関係ないことは、その時覚えた。いや、虫屋であることを隠すためのツールとしてそれらもたしなむ必要がある程度にその頃は考えていたが、今では自分の人生の重要な一部にもなっている。
新しく入ってきた学生にはぜひ昆虫だけでなくいろいろなことを体験し学んでほしいと思う。色々なところに行って実際に自分で体験・採集して欲しいと思う。