まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

マルハナノミの科名について

マルハナノミ科は長らくHelodidaeという名前が使われてきた。しかし、Scirtidaeという名前が単純な優先権により、命名規約上で有効であることがPope(1976)により指摘されて以来、こちらの名前を使用することが正しい。
日本ではこのPope(1976)以降もHelodidaeが使われ続けていた。これは世界中の研究者でもこの名前を慣例的に使う人がいたからだ。日本で初めてScirtidaeが使われたのは1996年、それから10年以上経過してやっと最近は定着した感がある。

Helodidaeは単にScirtidaeよりも後に名付けられただけだから、そっちでも良いのではないか、と思うかも知れない。しかし問題は根深い。
Helodidaeという名前は、基準となるHelodes属から由来する。しかしこのHelodesは元々はElodesとして発表されたものをHelodesに不正に修正したものなのである(よってこの属名もElodesを使用するのが正しい)。加えて、そのHelodesという名前は別のグループに既に使用されていたのである。

纏めると、Helodidaeは優先権の問題だけでなく、命名規約上の問題を2つも含んでおり、マルハナノミ科の名前としてはScirtidaeを使用しなければならない。