まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【review】 マルドロムシ論文

Bameul, F. (1989) Description du comportement de camouflage d'un Coleoptere : le deguisement actif de Georissus crenulatus (Coleoptera Georissidae), et proposition d'une nouvelle classification des deguisements chez les Invertebres. C. R. Acad. Sci. Paris, 309, ser. 3: 351-356.

マルドロムシは砂粒みたいな甲虫で、湿った地上に生息している。幼虫形態からガムシ上科に位置することは疑いなく、最近はガムシ科の1亜科として扱われることもある。
生きているときは、その砂粒みたいな自身の体の表面に、さらに砂粒を背負って生活していることが多い。本論文では、その体表に砂粒を付ける方法を詳細に観察している。砂粒を前脚で持ち、口器に持っていき唾液(saliva)でまぶした後、前脚―中脚―後脚を器用に使い、背面に背負うようにして砂粒を鞘翅の後方にくっつける。砂粒はその唾液(saliva)によってかなり頑丈にくっ付く訳である。この砂への“擬態”を新たに“psammophory”と呼ぶことを提唱している。
実はマルドロムシが砂を背負う方法は以前から気になっていて、鞘翅の粗大点刻を観察した際にそこから何らかの分泌液が出るのだろうと考えていた。今回の論文での観察はかなり明確なものであり(かわいらしい図もある)疑う余地はなさそう。
この論文をたたき台にして、さらに観察してみると、かなり面白いと思う。