まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

テントウムシ幼虫の食性進化

Giorgi, J. A. et al., 2009. The evolution of food preferences in Coccinellidae. Biological Control, 51 (2009):215–231.

テントウムシ科56タクサ+6アウトグループについて、分子系統解析(18S、28S)を行っている。CoccinellinaeとEpilachninaeの単系統は支持されたが、Sticholotidinae、Chilocorinae、Scymninae、Coccidulinaeは多系統であり、最近示されているテントウムシの系統関係はどれも支持されず、更なる分類学的再検討が必要だと結論付けている。
幼虫の食性(食性の情報は文献より)を系統樹上にマッピングしており、幼虫の祖先的食性は「カイガラムシ食」としている。そこから食葉性や菌食、アブラムシ食が派生したとしている。幼虫の食性をマッピングして考察するのはとても面白いが、今回のIG全体に「カイガラムシ食」が多く、今回の結果だけでは一概に言い切れない気がする。
また、OGの選び方が良くないような気がする。私が知る限り、テントウムシの姉妹群はミジンムシなので、それがOGに入れられていないのは、作為的な面があるように思う。最近、ミジンムシの良い論文をSyst.Ent.に出したSlipinskiが著者の一人に入っていることからも、ミジンムシをOGに入れないことには何らかの理由があるとしか思えない。(きちんと読んでいないので、論文中に言い訳が書いてあるかも知れない)

この論文は偶然発見したけど、なぜこの雑誌に掲載されているのだろう。いろいろ邪推してしまう。