まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

論文探索

緒言

分類の仕事は特に論文探索が重要。以前はZoological Record(ズーレコ)が全て、という感じであった。しかし、様々なデータベースができ、ズーレコもデジタルに移行し印刷物を作らなくなり、今は 自身で常にアンテナを張っておく必要があるようになった。昔は研究室や図書館で購読していた雑誌を定期的にチェックするということもしていたが、今はお金がなくて雑誌の購読をやめてしまっていたり電子出版になった雑誌も多い。そもそも情報の存在意義が電子化により劇的に変わったのだろう。情報は収集するものではなく、必要な時に検索するもの、という世の中になった。しかし、全ての情報にデジタルでアクセス可能ではない現状では、分類という学問にはネットでその度に検索というシステムは相性が良いとは言えないだろう。そのうちに変わるかも知れないので、今は過渡期なのだろう。

それなりに研究を続けて論文も書いていると、知り合いも増え、論文が出ると向こうから送ってくれることもある。しかしそんなにマメで親切な人ばかりではないし、自分自身もそんなことは出来ていない。だからこそ、アンテナを張って集めるしかない。

 

各論

research gateは研究者自身が登録し、自分の業績をリストアップしておくところである。ここから著者にPDFを請求することもできるし、場合によってはPDFを直接ダウンロードできる。また、自身の業績などから類似したテーマの論文をお勧めしてくれるので、本当に便利だ。問題は公的なメアドと業績が1本でもないと登録できないようなので、若い人は在学中に早く業績を作り登録することを勧める。

research mapはそのresearch mapを意識した作りになっているが、日本でしか使われておらず、知名度はない。しかし、パスワードを設定してPDFをアップロードすることもできるので、使い方によっては便利である。最近は多くの大学で、ここへの業績の登録を義務化しているので、国内の研究者の業績を時系列で追うのに便利である。

google scholarを使うのは、一番オーソドックスで、新しい論文を探索する方法として確実である。googleのアカウントを持っていればだれでも登録できる。ここのアラート機能を使い、いくつかのキーワードを登録しておくと、そのキーワードが含まれる論文が出版されるとメールで知らされる。だいたい週に2回くらい纏めてメールが届く。大手出版社から出版されている雑誌の場合、RSSに登録することにより新しい論文が出版されたらメールでお知らせがくるようにできるが、google scholarだと比較的網羅的である。

twitterFacebookなどのSNSから情報を得るのも策であるが、網羅的ではない。

ここで取り上げた以外にもいろいろな手法がある。しかし、これだけで100%というツールはなく、様々な方法を駆使することが重要である。

 

論文探索で重要なこと

ところで、論文探索や情報整理で重要なのは、実はインプットではなくアウトプットではないかと、最近思うようになった。何かしらの論文や報告をだすことは、新知見を既存の知見の中で位置付けすることである。既存の知見のレビューがしっかりされていて網羅的に引用している論文や報告は、読者だけでなく自身の研究にも役立つ。マイナー雑誌に書かれた報告などもしっかり引用している報告を見ると嬉しくなるし、こんな報告がでていることをよく知っていたな(よく見つけたな)、と驚嘆したりもする。いっぽう、ネットで検索できるだけの情報で書かれた報告は薄っぺらに感じる。

ネットでは特定テーマの情報を収集・整理した「まとめサイト」というものがある。論文や報告も、新知見をただ単に示すだけでなく、「まとめサイト」的に情報が纏めてあることが評価されるようになっているし、そのことが第3者のその後の文献探索に重要な意味を持つことにもなるだろう。

分類の論文でよく見かけるシノニムリストにも言えることである。適切に網羅的に示されたシノニムリストは、それさえ見ればその種の変遷・来歴がしっかり判る。イントロでダラダラ書かれるよりはシノニムリストでピシッと示してくれたほうが理解しやすいことも多い。私もそうだが、シノニムリストを端折ってしまうことがある。これは本当は良くないと思う。