まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

日本と台湾のヒメトゲムシの再検討

Yoshitomi, H., T. Kishimoto and C.-F. Lee, 2015. The Family Nosodendridae (Coleoptera, Derodontoidea) of Japan and Taiwan. Japanese Journal of systematic Entomology, 21 (1): 35-58.
日本と台湾から2種が知られていたヒメトゲムシ科を再検討した結果、2新種(台湾と小笠原)を認めた。また、4種のうち3種の幼虫を記載した。
この仲間は以前から興味があって文献を集めていたのだが、小笠原で未記載種と思われるものを採集してから本格的に研究に着手した。まずは1種記載してみて、その次にインドシナの種を纏めてみてから、日本と台湾の種のレビジョンに取り掛かった。岸本さんとLeeさんを巻き込んで何とか出来上がったのだが、だいぶん原稿が出来上がってきてからヨーロッパの研究チームが研究に着手しているとの情報を得たり、本科の第一人者に先制パンチしておきたかったので、お手軽なJJSEに投稿することにした。
本科の幼虫の気門は背方もしくは側方に突出していて、その周辺には多分岐した棘毛が生えている。はっきりとは判らないがプラストロン的な機能をしているのかも知れない。いっぽう、成虫はエリトラと腹部の間に空気を溜めるのだが、腹節腹板は基部を除き融合しその腹節とエリトラはしっかりロックされている状態なので、時々エリトラと腹部の間をばかっと空けるようにして空気を取り込んでいる。人間に例えると潜水する前に思いっきり空気を取り込んでから潜るような感じで、ヒメトゲムシの成虫も樹液中に潜り込んでいくことがある。これだけ見ても、本科は水生甲虫だと言っても過言ではない気がする。
生態情報も出来るだけ多く入れ込み、世界の種のホストレコードも纏めたので、盛りだくさん。