まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

重要な標本の送付方法

重要な標本(例えばタイプなど)については、出来る限り移動や郵送等送付を避けるべきである。しかし、現在の社会状況では重要な標本を移動させたり郵送したりする機会は好まざるにかかわらず多い。
ここでは小型の昆虫標本送付の際に最近使用している方法を紹介する。この方法は、簡易・安価であり、今のところ国内外に対して失敗が無い。もし台紙から虫体が外れても、破損や混乱が生じる可能性が極めて低いこともメリットである。また、海外に送付する際も、外から見えることから検疫を受けやすい(つまり必要以上に弄られない)ことも利点である。
デメリットとしては、同じ種を複数送る場合などは纏めるのがメンドクサイということが挙げられる(がさほどデメリットとも言えないかと思う)。
①用意するのは発泡スチロール。およそ1.5cm×1.5cm×1cm(厚さ)に切る。あとフィルムケース。KODAKのものとフジのものとで形が少し違うがどちらでも良い。ただし、不透明なものは外から見えないので不可。

②発泡スチロールの四つ角を指で押しながら無理矢理にフィルムケースに入れ込む。この時、発泡スチロールが小さすぎると良くないし、大きすぎると入れ込むのが大変。スチロールの大きさはフィルムケースの口径よりも少し大きいというのがコツ。
スチロールの上面は綺麗な面が良い。

③底まで押し込んで上から指でギュギュっと押さえつけたら完成。少しすき間があるが問題ない。気になれば木工用ボンド等ですき間を埋めても良いが、お勧めしない。もしすき間を埋めたら長期間かけてボンドを乾燥させる必要がある。以前、すき間をボンドで埋めた容器を乾燥不十分で標本を入れたところ、1日ほどで標本に水滴が付いたことがある。
また、発泡スチロールを入れ込む際にスチロールゴミがケース内に入っているかも知れないのでチェックを。

④標本を入れたところ。ほぼ真ん中に、深めに刺す。もし標本が壁に当たりそうならピン留めするが、そうでなければ台紙がクルクル回っていてもピンで留める必要すらない。浅く刺しすぎてピンの頭がケースよりも上に出ているとダメ。出来る限り深く刺すことがコツ。フィルムケースの深さは昆虫針よりも少し長いくらいなので、蓋をすれば標本が抜ける心配はほぼ皆無である。
蓋をするときに針が蓋に当たらないように注意すること。

⑤複数送る場合、このようにタッパーに纏めると良い。ちょうどフィルムケースがぴったり入る深さのタッパーは探せば多い規格である。当然送る場合には、このケースをさらにパッキングする。

フィルムケースの蓋は輸送の途中で外れないと思うが、心配ならテープなどで留めても良いだろう。
何度も送付に使い、発泡スチロールが針跡で古くなってきたら取り替えたほうが良い。また、送る際に蓋などに種名を書いておくと便利。
フィルムケースではなく、他のケースも利用できると思うが、手ごろな大きさと昆虫針より少し長い深さ、あとお金がかからないことからフィルムケースを勧める。
 
私の場合は、ホロタイプや単一標本の輸送・郵送についてはこの容器を用い、パラタイプが複数ある場合などは、小型の標本箱を用いている。