まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】 「生命は細部に宿りたまう」

加藤真(2010)「生命は細部に宿りたまう ミクロハビタットの小宇宙」岩波書店
個人的に今年一番の本。写真に文章に泣きそうになった。例えば57ページの1987年と2003年の同じ構図の同じ場所(でも2003年は鹿の食害で下草が無い)の写真には、危機感を感じずにいられない。オカミミガイ、コバネガ、クロサワツブミズムシ、ムカシゲンゴロウと、私の好きな生き物がたくさん出てきて嬉しかった。とにかく、身近にこのように生物多様性な世界が広がっている(いた)というのを感じられ、日本の自然が愛おしく感じられる1冊である。
なかで使われていた「ゆかしい」という形容詞が気になり、辞書で引いてみると、自分が思っていた以上に含蓄のある何とも素敵な言葉だった。まさにこの本にぴったりの言葉だ。