まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

日本のコガシラミズムシ決定版

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思い出話を下記に書いた。

コガシラミズムシ|吉富博之

 

実は、本論文が出たことで、(私が知る限り)世界で2人目の偉業を私は達成することができた。

甲虫目の現生種は4亜目に分けられ、おそらくその4亜目それぞれの単系統性はゆるぎないだろう。で、その4亜目全てで新種を記載した人はいなかった。甲虫の大家であるCrowsonやLawrence、日本では中根猛彦や酒井雅博も、4亜目を制覇していない。調べた限り、Sharpと佐藤正孝が3亜目であった。

理由は2つ考えられ、1つはナガヒラタムシ亜目とツブミズムシ亜目がマイナーで種数が少ない点。もう1つは、甲虫類の研究者は、扱う分類群が陸生か水生かで分かれる傾向にある点。ツブミズムシ亜目は水生のみ、ナガヒラタムシ亜目は陸生のみ含まれているので、水陸両用でなければ制覇は難しい。

2015年にこのことに気付いた私は、2016年にミャンマーのナガヒラタムシの新種を記載し残り1亜目オサムシ亜目のみとなっていた。これは世界初の人間になれる!

と思っていたところ、2018年にDr. Hájekが中国の研究者と共にナガヒラタムシの新種を記載した。実は密かにライバル視していたのだが彼も3亜目を制覇していて、残りのナガヒラタムシ亜目を記載したことにより、彼が世界で初めての人になってしまった。

彼から遅れること5年。やっと私も4つ制覇となった。収集癖のある人間にとって、小さなことでもコンプリートというのは気持ちの良いものである。

オサムシ亜目とツブミズムシ亜目の論文は、おんぶにだっこ的な感じであったので、自分が主体で論文を書きたいところだ。