まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

NZ特産ガムシのSaphydrus

M. Seidel, Y.N. Minoshima, R.A.B. Leschen and Martin Fikácek (2020) Phylogeny, systematics and rarity assessment of New Zealand endemic Saphydrus beetles and related enigmatic larvae (Coleoptera : Hydrophilidae : Cylominae). Invertebrate Systematics, 34: 260–292.

NZ特産ガムシのSaphydrus Sharp, 1884を再検討。2新種を追加。加えて本属の姉妹群であるEnigmahydrus larvalisをカッコいい幼虫を基に新属新種として記載。2属がなぜあまり採れないかなどを標本データを基に考察。丁寧で面白い。森林内の土壌中から成虫も幼虫も採集されることが多いようだ。

Enigmahydrus larvalisは幼虫をベースに記載されているが、完全変態群だと他に水生のハエ目が幼虫ベースでの記載があるとのこと。ユスリカやアミカなどだろう。でも甲虫ではとても珍しいと思う。前例はあるのだろうか。甲虫ではないけどキソヒロバカゲロウも幼虫を基に記載された種で成虫ベースで分類されていたヒロバカゲロウ科の中では不明種として長年置いておかれた。最近になり他種の幼虫を解明させることにより既知種のシノニムであることが分かった(Matsuno & Yoshitomi, 2016)。Enigmahydrusの場合は、属も種もシノニムになることはないだろうが、成虫形態の解明が望まれる。しかし、最近採集されておらず絶滅危惧種と言える状況のようなので、難しいのかも知れない。NZの環境について詳しくないのだが、こんなガムシが絶滅危惧って、どういうことなのだろう?減少要因として何か考えられるのだろうか。