まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

Protogyny in Trichoptera

Ito, T. (2016) Protogyny in Lepidostoma Ramber, 1842 (Trichoptera: Lepidostomatidae), with delayed egg maturation. The Pan-Pacific Entomologist, 92(1): 1-8.
昆虫では雄のほうが雌よりも早く現れるprotandryが一般的であるが、雌のほうが早く現れるprotogynyも稀なケースとして知られる。トビケラではいくつかのprotogynyについての報告があるが、ライトトラップでのサンプリングなど問題があった(雌雄で光走行性に違いがあるかも)。
そこでLepidostoma属3種について幼虫をサンプリングしてそこから羽化させたものを飼育実験した。そのうち2種はprotogynyを示し、雌の卵成熟に3〜5日を要することが判った。残り1種はprotogynyを示さず、雌の卵成熟に必要な期間は0〜2日であった。これらのことから、protogynyは雌の卵成熟にシンクロさせるための戦略だろうと考察している。
地味だけどしっかりした研究。トビケラ各種幼虫を100サンプル以上揃えて飼育実験など、個人の研究とは思えないほど。でも何でこの雑誌なのだろう?