まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

Junkおまえもか

ユンクのカタログと言えば、甲虫類の分類をしている研究者の間では知らない人がいないほど有名な「Coleopterorum catalogus」のことである。1910年から分類群ごとに発行され続け、170号ほど発行された。全ての分類群を網羅しているかは定かではないが、かなり網羅的で、とにかく研究を始めるにあたり紐解かねばならぬ1冊であることは間違いない。今では旧北区のカタログが出版されたり分類群によっては網羅的な研究が行われたり、また新知見が増えていたりもするので古典となってしまった感もあるが、それでも身近に置いておきたいものである。しかし全部を揃えるのはなかなか困難で、国内では一式揃いで所蔵しているところはほとんどないと思う。私もずいぶんお世話になったし、そのコピーを入手するためにたいへん苦労もした。うちの研究室には数冊のオリジナルと大量のコピー版があるが全ては網羅されていない。身近では久松家にかなり揃っているので、必要になったら土下座してお願いしてコピーさせていただく風習がうちの研究室にはある。
研究室にあるコピー版が劣化し始めてきたし、場所をとって困るので、自炊して全てPDFにしてしまおう、と最近になり作業をはじめた。もともとコピーなので字が擦れていたりするが読めればよいと、ばっさりScanSnapに差し込んで、ガーガー流している。コピーは必要なところ以外は捨ててしまおうと思っている。
ところが昨日、山迫君と話をしていて、BHLでユンクのカタログがダウンロードできると聞いた。驚いて見てみると全部ではないものの、30号分程度がアップされていた(ココ)。版権の問題で、絶対にアップされないと思っていたし数年前に探したときには無かったのに。そのうちに全号アップされるのだろうか?
分類学を含めた生物多様性研究は、本当にやりやすくなってきた。私が研究を始めた頃に比べると格段に便利になっている。しかしその一方で、本当にこれでよいのだろうかと思ってしまうのは単に私が歳をとったせいだろうか。