まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

スケッチ

いま纏めている分類群は私が研究をはじめるまで、世界中でほぼ一人しか研究者がいなかった。その研究者の仕事は粗くスケッチが下手で、仕事を後からトレースするのがとても難しかった。だれも研究しないのは、それが一番の原因ではないかと思っている。でも下手なスケッチも見慣れてくると不思議なもので見えてくるものがある。その研究者は国毎に数種ずつ論文化しているのだが、なぜかその国の中の種だけで識別していて、明らかに近縁な他国の種との識別形質を示しておらず、楽して新種に名前だけつければよい、という姿勢である。

こちらはその分類群の研究をスタートさせ数本論文をだしたので、数年前に共同研究をもちかけた。よい返事をもらっていたのだが、こちらの執筆スピードが遅いからか研究に対する考えの違いからか、彼は断片的な仕事を量産し共同研究は反故にされた感じになっている。

今回の論文が出れば、少なくともアジアの種の研究はしやすくなるはず。なかなかの難産だけど。頑張ろう。