まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

スウェーデンのカミキリムシの変遷と衰退

Lindhe, A., Jeppsson, T. & Ehnstrom, B., 2010. Longhorn beetles in Sweden -changes in distribution and abundance over the last two hundred years. Entomologisk Tidskrift, 131(4): 241-508.
スウェーデンからは126種のカミキリムシが記録されており、その19世紀〜20世紀にかけての標本と記録を総ざらいしその分布記録の変化を追ったという大きな論文。生態等についても纏められているし写真も綺麗。57000レコード/1400採集者というデータを解析したのだからもの凄い労力だと思う。ハードカバーで表紙にPachytaがさりげなく写っていて良い!
RL掲載種に関する考察では、減少率が過少評価されている種と過大評価されている種とがあるとしている。モニタリングについては国家的指針作りの必要性やコレクション、採集者、採集地、採集方法等も含めた網羅的DBの作成の必要性について触れている。
国家的な歴史ある博物館資料の蓄積がある同国ならではの仕事だと思う。また、126種というのは、日本で換算すると1都道府県での確認種以下の規模なので(日本全体で900種(亜種含む)以上、1県200種位が平均?)、日本での類似研究はカミキリを題材としては難しいだろう。