まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

Agabus bipustulatsの分子系統

Drotz, M. K., Brodin, T. & Nlsson, A. (2010) Multiple origins of elytral reticulation modfications in the west Palaearctic Agabus bipustulatus complex (Coleoptera, Dytiscidae). PLoS ONE, 5(2): e9034.
ヨーロッパで最も普通のAgabusであるAgabus bipustulatusの分子系統。本種は平地から高地にまで生息するようで、地理的変異も多いようだ。特に高地には雌雄にエリトラの光沢の強い個体群、西方の低地にはエリトラの雌雄2型(光沢雄とマット雌)の個体群がいるようで、まさに日本のマメゲンにも見られるような感じ。それの分子系統を行い、エリトラの微細構造をトレースしたところ、いくつかの“型(すでに名前がつけられている、これも日本のマメゲンと一緒)”は独立起源のものであろう、という結果が得られた。面白いのだが、エリトラの微細構造のグルーピング(7つに区分)が記述的で、そこをもう少し定量的なものにすればもっと面白かったのではなかろうか。
日本のマメゲンでも同様の研究を行うと、きっと面白いと思う。日本でも日本アルプス周辺では高地に色の明るい体長の大きな個体群が見られるし、何より北海道から琉球にまで分布が広い種なので、どうなっているのかが楽しみ。それ以前に、日本のAgabusは、台湾などの周辺地域を含めた広範囲で網羅的な(外部形態に基づく)分類学的再検討も必要だと思う。