まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

韓国初記録のマルハナノミ3種

S.W. Jung, Y.-H. Kim and S.-G. Lee (2020) Checklist of the Coleoptera Recorded from the Korean Indigenous Species Survey of the National Institute of Biological Resources (2017-2019) with Three New Records of Family Scirtidae. Entomological Research Bulletin 36(2): 80-82. 

National Institute of Biological Resourcesの甲虫を調査し、以下のマルハナノミ3種を韓国から初記録している。

Contacyphon padi (Linnaeus, 1758)

Contacyphon palustris (C. G. Thomson, 1855)

Hydrocyphon nakanei Yoshitomi, 2001

カミキリ擬態のラン

Cohen et al. (2021) Sexual deception of a beetle pollinator through floral mimicry, Current Biology, in press. https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.03.037

南アフリカの珍しいランDisa forficariaは、Chorothyse hesseiというカミキリの雌に擬態し雄を誘引し送粉させるとのこと。このような送粉はハチやハエではよく知られていたが、コウチュウでは明らかになっていなかった。Chorothyse hesseiは真っ黒いMolorchusみたいなカミキリで、こんな種を送粉者に選ぶなんて特殊すぎて面白い。

中国のミズスマシ

Liang Z., Angus R.B. & Jia F. (2021) Three new species of Patrus Aubé with additional records of Gyrinidae from China (Coleoptera, Gyrinidae). European Journal of Taxonomy 767: 1–39. https://doi.org/10.5852/ejt.2021.767.1481

メインはPatrus属の3新種記載だが、他の種の写真もたくさん出てきて有用。

Homo sapiensのタイプ標本

kaisekiriu.hatenablog.com

興味深い考察。

でもこれを読んでも私は非存在説の方が妥当な気がする。まぁ確かにLinnae自身を含め種の記載を行うにあたってLinnaeが参照した”人たち”が全てシンタイプだと考えることには無理はないのかも知れないが、ではシンタイプはいくつあったのか、原記載は1個体に基づく記載ではなかったのか(その場合ホロタイプ)、などいろいろ考えると、こじつけにも思う。フィジカルな標本に基づいていない記載だという非存在説で良いのでは?

ただ、このトピックについて勉強不足なことから、自身でも調べてみたい。そもそもHomo sapiensの原記載すら読んでいない。

海浜性のCafius

I.-S. Yoo,  J.-H. Song & K.-J. Ahn (2021) Total-evidence phylogeny of the coastal Cafius complex (Coleoptera: Staphylinidae) and its new generic concepts. Zoologica Scripta, early view. DOI: 10.1111/zsc.12506

昆虫学会の発表を聞いていて、ちょっと調べるとこの論文が出ていたので著者からPDFを送って貰った。分子系統解析の結果を受けいくつかの分類学的措置を行っている。日本産に関係しそうなものは以下の通り。妥当性は判らない。

1.Remus Holme, 1837をCafius Stephens, 1829のシノニムにしている。この結果、以下の種の新結合が提唱されている。

 ムネスジウミベハネカクシCafius corallicola (Fairmaire, 1849)

2.日本産のウミベアカバハネカクシ属Phucobiusはこの論文で1種にされていたが、本属をCafius Stephens, 1829のシノニムとしている。この結果、以下の種の新結合が提唱されている。

 ウミベアカバハネカクシCafius pectoralis (Boheman, 1858)

アリモドキゾウムシとイモゾウムシ

H. Yoshitake, M. Arimoto, N. Hinomoto, C.‑F. Lee, S.‑S. Lu, S.A. Yap & A.A. Cabras (2021) Genetic variation of two weevil pests of sweet potato, Cylas formicarius (Coleoptera: Brentidae) and Euscepes postfasciatus (Coleoptera: Curculionidae), in Japan based on mitochondrial DNA. Applied Entomology and Zoology, https://doi.org/10.1007/s13355-021-00755-5

アリモドキゾウムシとイモゾウムシの日本とその周辺のCOIを見てハプロタイプを見ている。日本には周辺域から数回の侵入が起こっているようだとのこと。

パブコメ

www.env.go.jp

今更気付く。風発アセスの要件を緩和しようというパブコメ

他の法対象事業との公平性を勘案し、第一種事業は5万kW以上、第二種事業は3.75万kW以上5万kW未満にするというもの。現行法は第一種事業が1万kW以上なのでかなりの緩和になる。これによりある程度規模のWFであれば法アセスを経ずとも建設できてしまう可能性もあるということである。調べると「せたな大里WF」が5万kWのようなので、この規模以上でないと法アセス案件にならないということになる。

風況のことを考えるとソーラーのようにどこにでも乱立するということはないと思うが、ちょっと緩めすぎな気がする。