まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

ミカドテントウの越冬期の生態

加藤智哉・山下知聡・重信雄哉・越智恒夫・吉富博之,2022.ミカドテントウの愛媛県における越冬時期の生態および食性.さやばねニューシリーズ,(47): 1-5. 

加藤君の卒論をメインに再構築した報告。RGからPDFを見ることができる。

愛媛大学農学部にはイチイガシが植栽されていてミカドテントウがたくさん生息し四国初記録として末長(2009)により報告されている。なぜ冬季に集団で葉裏に集まって越冬するのだろう。ということで、越冬生態を調べることにしてみた。が、葉にマーキングして調査してみると、休眠はしておらず極端に寒くなかったら結構動いていることが判明した。結局、なんで集まるかは判らなかったが、幼虫期も判ったし食べているものも一部は判明したので卒論としては十分な成果になったと思う。島根で調査してみたらイチイガシもあるし餌のアブラムシも分布するのにミカドテントウは見つからなかった。これは休眠しないミカドテントウにとって寒すぎるからではないかと思っている。この辺を調べてみると分布が局所的な理由もわかるかも知れない。

残念なことに調査した農学部内のイチイガシの多くは伐採されてしまった。1本大木が残っているがミカドテントウの生息数は激減した。同じように調査することは農学部ではもうできない。

イチイガシ葉裏に集まるミカドテントウ