まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

ハンミョウ論文2つ

Kaoru Tsuji, Michio Hori, Moe Hnin Phyu, Hongbin Liang, Teiji Sota (2016) Colorful patterns indicate common ancestry in diverged tiger beetle taxa: Molecular phylogeny, biogeography, and evolution of elytral coloration of the genus Cicindela subgenus Sophiodela and its allies. Molecular Phylogenetics and Evolution 95 (2016) 1–10.
Cicindelina亜族のミトコンドリア遺伝子(1)・核遺伝子(3)を用いた分子系統解析。Fig.2が美しい。日本のナミハンミョウが入っているSophiodela(今はCicindela属の亜属)は美しい斑紋をしているが、インドシナなどに居る綺麗なCosmodela属と姉妹群でありやはり東洋区にいる綺麗なCalochroa属を含め単系統群(Sophiodela group)を形成する。本論文では処理されていないが、Cicinela属などは明らかに単系統ではなく系統関係は結構エリトラの色彩パターンに現れているように見える。
とても虫屋的な虫屋好みの論文。

 
■Fukuda, Y., J. Yamasako, R. Ogawa & M. Sakai (2015) Review of the Japanese species of the genus Cicindela (Sophiodela) (Coleoptera, Carabidae, Cicindelinae) based on the characters of internal sac. Elytra, new series, 5(2): 269-280.
ナミハンミョウ類の内袋を詳細に見てその形態を詳細に記載した。その結果、ナミハンミョウ、アマミハンミョウ、オキナワハンミョウをそれぞれ独立種としている。素晴らしい出来だけど原図の解像度がちょっと低いのが惜しい。
これは福田君の愛媛大での卒論で、日本語で書かれていたものを先輩たちと協力しながら2年をかけて英語論文化したもの。素晴らしい。でも1点、体裁的なことだがあまりよくないところがあって、出す前に相談してくれれば、と思ってしまった。いや大したところではないけど・・・・
前の論文とほぼ時を同じくして出され、結果も齟齬無いもので図ったようなイメージだが、両方とも独立して行われたもの。福田君の論文が早く出ていれば、前者に引用してもらえたのだが、結局間に合わなかったのが残念。