まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】 したたかな寄生

成田聡子(2017)「したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち」幻冬舎新書
病床で読了。面白い。新書でこの内容が読めるというのはお徳だし本当にお勧めの本。今年読んだ本の中で、1,2番目に面白かった。私が寄生と共生に興味があるからかも知れないが。
副題からして宿主操作がメインの話だろうから、ハリガネムシとかクモヒメバチとか出てきて楽しいだろうな、と思っていたら、それ以上にいろいろな生物が出てきて楽しめた。残念ながらクモヒメバチは出てこなかった。あらゆる人にお勧めの1冊。後半の腸内細菌のところは、誰が読んでも興味深いと思う。
宿主操作(manipulation)の詳細な機構は、判っていないものが多いと思っていたが、本書で扱われているものでは判っているものも多く、そうだったんだ、と勉強になった。本書を読んで、外部飼い殺し寄生のクモヒメバチの特異性と研究の意義について、改めて考えさせられた。本書でも取り扱って欲しかった。
最後にきちんと参考文献リストがあるのも素晴らしい。