まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

'Predatory journal'がインドの魚類分類学に与える影響

Raghavan, R. et al. (2014) Predatory journals and Indian ichthyology. Current Science 107(5): 740-742.
興味あったので読んでみるが、確かに酷い。ただこれはインドや魚類の分類に限ったことではなく、日本やヨーロッパなどでも査読がほとんど機能していない同好会誌的雑誌も多くあるしサーキュレーションもかなり悪いものもある。それらには昆虫類の分類の論文も数多く掲載されている。インド、パキスタン、トルコなどが、そういった雑誌の巣窟になっている気がする。今回紹介されている例は、査読がゆるいとかそういった以前に、不正や詐欺のような論文が多数掲載されてしまい、全く科学になっていないという感じの話である。また、ICZNに違反している例もあるようだ。成果主義のしわ寄せと書いているが、原因はそこなのだろうか?試しにここで例として挙げられていた雑誌と論文を見てみたが、体裁だけは普通の論文に見える。中身は読む気にならなかったので読んでいない。
・・・・この前、インドの雑誌に日本人が書いたある分類の論文も目が潰れそうな状態だったので、他人事ではないな・・・・
この状態が長く続くと、分類学が機能しないばかりか、分類学者もやる気を失ってしまうだろう。どうしたら良いのだろう。
しかし、私が一番気になったこととして、これらの'Predatory journal'はほとんどがオンラインでの電子出版のみであり、そうであれば現行のICZNでは出版前にZooBankに著作物の登録がされない限り出版物として的確ではない(認められない)というところで、そこについてはこの論文では触れられていなかった(著者らも詳しくないのだろう)。どうなるのだろう?いや、今後、ICZNはどうするのだろう?