まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

女性形・男性形

この前、ヨーロッパのある大御所研究者の原稿を査読した。その中である属(性は男性)のもとで”curvispina”という種を記載していたので、種小名を男性形(curvispinus)にすべきと意見した。査読者は本来、Blind Reviewであるべきだったが、コメントのところに私の名前が残ってしまっていたようで、著者から直接意見がメールされてきた。
彼は、この種小名を”noun”(名詞)として扱うので、種小名の語尾を属の性に合わせて変化させる必要はないんだ、という自論を言ってきた。確かに"odgisan"や”amami”などのラテン語ではない単語を起源とした種小名は名詞であり変化させる必要はないが、著者の意思で個々に変えられるものではないはず。ICZNや学名の本を引っ張り出して来て反論をメールした。
大御所で数多くのタクサを記載しているのにICZNには疎いのだろうか?ヨーロッパ人だからラテン語にも詳しそうなのに。
日本は、ICZNの日本語版や大久保さんの解説本、平嶋先生の一連の本が出ているので、動物の学名・命名に関しては本当に恵まれた環境で勉強出来ると思う。もしかしたら、こんなに恵まれた国はほかにないのかも知れない。特に平嶋先生の本は今回の件でもとても役に立った。今更ながら平嶋先生には足を向けて眠ることができない。