まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

Dejean's 2nd and 3rd catalogue

Bousquet, Y. & P. Bouchard (2013a) The genera in the second catalogue (1833–1836) of Dejean’s Coleoptera collection. ZooKeys 282: 1–219.
Bousquet, Y. & P. Bouchard (2013b) The genera in the third catalogue (1836–1837) of Dejean’s Coleoptera collection. ZooKeys 282: 221–239.
Pierre François Marie Auguste Dejean (1780-1845)は、フランスの昆虫学者(甲虫類のコレクター)で、1802年、1821年、1833–1836年、そして1836–1837年にそれぞれ彼の甲虫のコレクションに基づくカタログを4回出している。これらは“Dejean's catalogue”と呼ばれている。1802年に出された1番目のカタログは、売り出されることも無く新しい有効名を含まないことからも分類学上重要ではない。1821年に出された2番目のカタログはすでにSilfverberg (1983, 1984a, 1984b)により紹介されている。Bousquet & Bouchard (2013a, b)は今回、3番目と4番目のカタログを詳細に検討し、そこで扱われている属名が有効名であるかどうか、有効名である場合はその著者と模式種、そして現在使われている名前との関係について、他の関係する多くの文献類も読み解き検討している。その結果、“Dejean's catalogue”で示された多くの属が有効名であり、多くのシノニムを見つけ出し分類学的措置を行っている。また、模式種やホモニムについての分類学的処置も行っている。
カミキリムシ科やゴミムシダマシ科のものについての分類学的処置が多く、自分が専門にする分類群でのそのような変更が無かったことから、流し読みしかしていないが、おそらくは日本産にも関係する処理がされているので、とても重要な論文であろう。
古い文献をいくつも読み解き、それに基づきしっかりとした分類学的措置を行う研究は、今の分類学の時流とは違うようにも感じるが、スキャナーとコピーが発達し珍本・希少本なども網羅的に探索・調査できる現代ならではの研究なのかも知れない。
それにしても、この著者らはこういう仕事が好きだなぁ。これも彼らが活躍した論文。