まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】 生物多様性読本

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日経エコロジー編 世界に乗り遅れないための生物多様性読本 日経BP社 2009年
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この本自体は、“入門から実例まで企業人のための決定版”と表紙にあるだけに、よく纏まっていると思う。読者層を企業人としているだけに、共生に関するキーワードを広く扱っている。表紙の絵もすごく良い。宮脇先生の写真を初めて見れたのも良かった。自然再生事業箇所については、環境省絡みの案件のみを図示していて、他の省庁が絡んでいるものが入っておらず、抜けがあるように思う(違うかな?)。とにかく良い本だと思う。
しかし、生物多様性の解明の大きな基礎である生物分類学についての記述が全く無かったのがとても残念だった。導入のボルネオの写真が掲載されているページで「熱帯雨林は地球の面積の7%にすぎないが、地球上の種の50〜90%が集まる生物多様性の宝庫だ」とあるが、50〜90%って幅広すぎやしないか?と思う読者はどれくらいいるのだろうか。この本は、“企業人のための・・・”だからあえて生物分類学に関して触れなかったのだと、好意的にとっておくことにしたい。