まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】 「迫るアジア どうする日本の研究者 理系白書3」 毎日新聞科学環境部 講談社文庫

引越し前の平穏な時期に読了。本屋で見かけ、ぱらぱらめくるとiPS細胞の裏話のようなことが書かれていたので衝動買いする。
危機的な状況下に置かれている日本の科学研究者たちの現状をいろいろな方面から検証している。
特にアジアの台頭について書かれているが、本全体としては、アジアの脅威よりは日本国内のシステムの問題や世界的な閉塞感の方が大きな問題としてあるように感じた。アジア諸国で行なわれているエリートの育成については、日本も行なうべきだと思った。
科学分野にありながら、自分たちの研究分野は「大競争」よりは「大協力」が今でも必要視される基礎研究の1つであり、特許などとはあまり縁が無い。だから、本書に出てくるようなシビアな危機感を感じず”ぬるま湯”につかっている感覚であった。しかしアジアの人たちが台頭してくる現状は、最先端の分野の場合と変わりなく、”ぬるま湯”と感じている自分の危機意識の欠如は訂正すべきであろう。

理系白書1・2は実は読んでいないのだが、今回の3と内容がかぶらないのであれば、ぜひ読んでみたいし、それらの既刊が発行された時代と今とではやはり状況が違ってきているのかも知れない。