まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

マツモトコナカイガラムシ

H. TANAKA & S. KAMITANI (2022) Review of the genus Crisicoccus Ferris (Hemiptera: Coccomorpha: Pseudococcidae) in Japan with description of a new species, and the identity of a South Korean mealybug misidentified as Crisicoccus matsumotoi (Shiraiwa 1935). Zootaxa 5209 (5): 555–572.

これは重要な論文。

農業害虫としても有名なマツモトコナカイガラムシの学名がCrisicoccus seruratus (Kanda, 1933)に確定した。”確定した”と書いたのは、Pseudococcus matsumotoi Shiraiwa, 1935が本論文で正式にシノニムとされたものの、最近の日本の書籍ではマツモトコナカイガラムシに対してCrisicoccus seruratusとかCrisicoccus matsumotoiの学名が使われていたからだ。また、マツモトコナカイガラムシと誤同定されていた”On Pears /Japan: at Seattle / Berryhill.”で採集された1個体の標本を基にナシコナカイガラムシCrisicoccus ezzati sp. nov.が記載された。アザレアコナカイガラムシCrisicoccus azaleae (Tinsley 1898)とマツコナカイガラムシCrisicoccus pini (Kuwana 1902)も再記載している。韓国でマツモトコナカイガラムシとして記録されてきたものは、Spilococcus pacificus (Borchsenius 1949)であったとして、本種も再記載している。

コナカイガラムシはまだまだ闇が深そうだ。

この論文では命名者と記載年の間のカンマを全て無くしているが、これって大丈夫なのだろうか?引用文献ではカンマ無しがメジャーになりつつあるが、学名の後の命名者と記載年の間のカンマは省略してはいけない気がする。(1128 ICZNを見直したが特に規定されていないのでカンマ無しでもダメということはないだろう。でも少なくとも動物の学名では見かけない気がするし、ICZNで例示されているもの全てがカンマ付きなのでついている方がメジャーだと思う。ZT誌でもついている論文ばかりだと思う。あえて入れない理由があったのかな?)