まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】生物を分けると世界が分かる

「生物を分けると世界が分かる」岡西政典 2022 BLUE BACKS

前2作と共に本作も分類学を適切に簡単に解説していてとても良い(今更だけど前2作もしっかり読んでいるけど感想文を書いていなかったようだ)。こういう本を読んで、分類学も捨てたもんじゃないし、時代遅れなどという指摘が間違っているということも判る(先日、某会議で分類学はもう古いと言われショックを受けたことがあった;この時は参加者のうち分類学者はまたかと黙って、生態学者が激怒りした)。

ただ、今回の本では少し判りにくいと思う文章が多かったように思う。例えば、「最近新種と判明したサザエの近似種のナンカイサザエ」(p. 195)という文を読者が誤解なく理解したとは思えない。(これは「最近新種と判明したサザエの / 近似種のナンカイサザエ」)前2作とは違いちょっと急いで書いたのかなと思った。また、分子系統に関する説明のところは私自身が苦手ということもあるが、ちょっと理解できないところもあった。

本書の題からこういう話も期待していたが、残念ながらそういう感じにはなっていなかった。