まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】昆虫 新版 (学研の図鑑LIVE(ライブ))

「新しい図鑑。私の好きな言葉です。」

2800種も掲載されているとのこと。普通種はもちろん、最近話題の種やすごい珍品も掲載されていて、図鑑では初掲載の種も多そうだ(専門書や論文では見ることができるという意味)。おまけにそれらが白バックの生体の綺麗な写真というのはすごい。私が好きなアブラムシ、シリアゲムシ、ウスバカゲロウ辺りは、素晴らしいセレクション。イシノミやシミをここまで掲載するというのも素晴らしい。ちょこちょこ出てくる生態写真も良く、コメントや豆知識も最新のものが紹介されたりしている。

今のところ誤同定は見つけられていない。分布記録が少し間違いがあるけど参考にした文献の間違いを踏襲したことが判るものだった。

きっと作成するにあたり、撮影したけど掲載されなかったものも多いのだろうな。作る側は大変だったと思う。マルハナノミは3種、ヒメドロムシは10種も出ている。

村松年の「日本昆虫大図鑑」が出たのが1931年。それから100年近くでここまで日本の昆虫相の解明が進み出版や写真の技術も進歩したのかと思うと感慨深い。子供向け図鑑とはいえ歴史に残る図鑑になるだろう。

本書の残念なところとしては、野外に持っていくには本が大きすぎることと写真が小さな種もあること。しかし2800種をこのサイズの本に入れ込むには仕方ないのだろう。そもそもKindle版もあるのでデジタルで親しむべきなのかもしれない。いっそのこと、有名な猪又図鑑「大図録日本の蝶 特大原色図版」(竹書房,1986)みたいなのを作っても良いのにと思ってしまう(学生の頃に本書が世界一大きな図鑑だとギネス認定されていると聞いたことがあったが本当なのだろうか)。その点、「日本の昆虫1400」は掲載種が半分とはいえ素晴らしい図鑑だと思う。

とにかく、この図鑑が出たことにより子供向けの昆虫図鑑の一番お勧めはこれに決定してしまった。しばらくはニヤニヤ眺めながら楽しめそうだ。買いの1冊。普段使い用と保存用の2冊あっても良いだろう。