まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?

久しぶりにジュンク堂に行き物色。春に移転するからか、古いタイトルから間引きしているようで寂しくなっていた。そんな中、でんと置かれていたのですぐに購入。帰宅後すぐに読み切ってしまった。素晴らしく良い本であった。

「図鑑を見ても名前が判らないのはなぜ?」 → 「全部が網羅されている訳ではないから。」

と短絡的になるわけではなく、図鑑との接し方を丁寧に紐解いている。特にシダのところが愛が溢れていてすごく良かった。自分が新しい分類群を勉強はじめるときのドキドキ感、ある時ふっと見えてくる瞬間、ハマるポイント、なんかも上手く書かれていてこういう感覚をみんなに味わってほしいと思う。

この本を読んで、図鑑を見てわかるようになるコツを自分なりに考えてみると、本書にはあまり触れられていないけど、徹底的に集めることと、自分の専門の(得意な)分類群をつくること、の2つは挙げられるかなと思った。特に後者は重要だと思う。本書にも書かれていたが、複数の図鑑を並行して読むというのは特に重要な指摘だと思う。

6章では「同定の荒野」として、3つの昆虫について調べた経緯が記されているが、あまりに荒野すぎる分類群で普通はそこまで出来ないよ、と思ってしまった。

中に出てくるクイズは難しい。カとウグイスは難なく正解したが、クモは全く判らなかった。92ページにあるオオヒゲブトハナムグリのプレートは、見た瞬間に「亜硫酸で殺虫されているのはどれ?」というクイズかと思ってしまった。右下と中下かな。

推しの図鑑に「日本の水生昆虫」が出ていて嬉しかった。「実質タダ」って。それに原色のラインナップも嬉しい。確かにレジェンド級だと思う。個人的にはやっぱり「アリの巣の生きもの図鑑」と「醤油鯛」だな。

今年もいろいろ良い本に巡り合えたが、年末のこんな時期にこんな良い本に出合えて嬉しくなった。何だか来年もよいことがありそう。

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