まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

私たちはどうやって生き物を識別しているか?

虫屋の中では、採ったやつが一番偉いという不文律がある。野外で実際に自分自身で探すこと、採ること、触ること、そういった経験は標本や文献による知識に勝るということかと思う。実際に私たちは生物を識別する際に大きさや色彩や行動など図鑑に書かれているような特徴以外に、肌触りなどの質感や雰囲気、周囲の環境、匂いなどの経験則を用いることがあり、そのほうが正しいこともある。

BiomeなどのAI画像診断は画像の診断経験をたくさんさせることにより、尤もらしい識別を行うことだが、さすがに質感や雰囲気までは学べないのではないかと思う。Biomeに投稿された他の人が撮影した写真を見て自身で感じた違和感、例えばこの植物にこうやってとまることなさそうとか、こんな人工物にとまらないだろうとか、そういったことで選択肢を絞ったり識別の間違いに気付いたりすることがある。まさに経験が識別に役立っているのだろう。

先日見た虫嫌い論文。室内などの背景に虫がいると嫌悪感が増すということであったが、そもそも虫への体験や経験が少ないことに加え、室内環境に虫がいるという違和感を感じてしまうのではないか。そう考えると、虫グッズにより慣れることができてくるのかも知れない、もっと虫のシャワーを浴び続けなければいけないのかも知れない。