まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

高知県のクロサワツブミズムシ

辻 雄介・近藤英文(2021)高知県におけるクロサワツブミズムシの分布記録.豊田ホタルの里ミュージアム研究報告書,(13): 55-65.

高知県内109地点の記録。こういう狂気に満ちた報告は好き。109地点って、こういうファウナ調査を行ったことある人なら、この地点数がどれだけ狂気なのか判ると思う。法面のコンクリート護岸をメインにしているとはいえ、すごい。

県の西部や東部では調査しても採集できなかったところがあるとのこと。また、短翅と長翅の混生地も意外と見つかっていて、高知県中央部では多いのかもとのこと。

本種の人工物上の生息地については吉富(1997)が最初の報告だと思う。それまでは調査不足だったという可能性も無くはないが、そんなに普通に見られるものではなかったと思う。コンクリ護岸を使うようになってきたのは近年になってからではないのだろうか。コンクリ護岸の構造とか歴史とか成分とか普及状況とか、そんなことも含め調べていくと何か面白い事象があるように思う。実際に本州の数県では本種はレッドデータブックにも掲載されている。自然の湿崖が護岸されたりして生息地が減少してしまうというのが、本種のレッドリストへの掲載理由だと思うが、それらの県でもコンクリ護岸にも生息していないのかを調査する必要があるだろう。

f:id:yoshitomushi:20210320123612j:plainコンクリ護岸にいたクロサワツブミズムシ