まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

IPMとウィズコロナ

IPM(Integrated Pest Management)は総合的病害虫管理といって、”病害虫の防除に関し、利用可能なすべての防除技術を利用し、経済性を考慮しつつ、適切な手段を総合的に講じる防除手法のことである(wikipediaより)”。簡単に言うと、化学的防除(殺虫剤系の農薬)だけでなく、生物的防除(天敵など)や物理的防除(防虫ネットとか)なども使って、予防原則で被害許容水準以下であれば強い殺虫剤などは極力使用しないというシステムと考え方である。天敵が働きやすいように選択性殺虫剤を使ったり散布時期を考えたりと、それぞれの防除の意味を考え、全体として対策の矛盾が生じないように、かつ経済性や環境に対する負荷や作物の安全性にも配慮した考え方である。現在では農業分野だけでなく、博物館や美術館の管理、屋内のペストコントロールなどでもこのIPMという考え方は浸透しつつある。実際にIPMの体系を行うことにより農業資材費が減り農薬の散布回数も減ったという報告もある。

ただ、IPMを行う上で難しいところとして、日本ではどうしても被害許容水準が高くなりがち(虫食いや形がいびつな野菜が受け入れられにくい)ということ、よく観察をして作物の状態とその害虫の発生状況の把握が求められること(これがすごく大事、一番大切なことかも)、それに広域に行わなければ意味がないこと、などが挙げられる。

昨年、ウィズコロナという言葉を初めて聞いたとき、IPMのような考え方のことだろう、と思った。ウィズコロナの定義もよく判らないし(ネットで調べてみたが厳密な意味は解らなかった)、最初に誰が言い出したかも判らないし、そもそもIPMの考え方とコロナ対策がマッチできるのかも判らないのだが、とにかくIPM的な考え方・方針であるなら良いかも知れないと、その時は感じた。ただ、上に挙げたのと同じような難しい点もあるよな、と思った。

でも最近では、被害許容水準もしっかり示されないし(いや示せないのかも)、発生状況の把握も中途半端だし、いろんな政策が矛盾しているし、今は私が思ったことが間違っていたんだろうなと感じている。じゃぁウィズコロナってどんなことなんだろう?