まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

日常

午前中は会議。担当者に苦言を。ただ、その担当者に言っても仕方ないという案件で、この怒りの矛先をどこに向けたら良いのだろうか。会議に出席していた橋越先生にもいろいろお聞きしたが、やはりしっかり言っておかないといけないと思い発言した。これまで何年もこのクオリティで容認されてきたというのが恐ろしい。

生物調査っておそらく一般の人からは軽く見られている。種の同定はできないけど、努力量と要領でカバーできる、みたいな感じに思われているのだと思う。それは違う。まず調査地に立つと、あれが居そうこれが居るだろうという仮説が頭の中によぎる。それを探しつつ、他に見つかるものを見つけていく。時には思いがけないものも見つかったりする。でもたいていは教室で生徒の出席をとるような感覚。環境が良ければ大きな教室で生徒も多く環境が悪ければ小さな教室。たいていの場所では鳥類対象なら30人くらいの授業、植物や昆虫対象なら100人規模の大きな授業。両生爬虫類哺乳類対象なら、少人数クラスで生徒が隠れているので見つけるのも大変。知識と経験、目、想像力、そして生き物が好きなこと。生物調査を行う上でこれらの全てが要求されてくる。

概査(みっちり調べるのではなくとりあえずパパっと簡易に調べる)って、それなりの人が調べるからこそ概査になるのであって、素人が調べる概査っていうのは本当に無駄。おまけに調べる分類群を広く何でもというものは、よっぽどのスーパーマンでない限り無理。こういうことを生き物を専門としない人たちに理解してもらうのってどうすれば良いのだろう。その前に素人・素人って馬鹿にするのではなくしっかり識別するスキルを簡単に身に着けるためのツールなどを作れよ、と言われそうだが、こっちも日々精進しているし、相当なお金と労力と時間をつぎ込んでいるのだ。

素人を数人集めて目に付く生き物を採集して写真に撮りそれを専門家に同定してもらう、という30年前のアセス調査でもそこまで酷くないよ、というものを見せつけられ、怒りとともに虚無感を感じた。予算がないことや急ぎたいことも理解はできる。アセス案件ではないのでそこまで手間をかけたくないのも判る。でもこれは概査になっていないし生物調査でもない。

精神的なダメージが大きい。。。午後からも気分が落ち込みずっと考えこんでいた。