まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

ホソカッコウ

H MURAKAMI (2020) Review of the genus Cladiscus (Coleoptera: Cleridae) from Japan and Taiwan, with descriptions of two new species. AEMNP 60(2): 475–492. 

日本と台湾のホソカッコウ属を纏めている。八丈島からC. hachijoensis sp. nov. 、台湾からC. liaoi sp. nov.を記載し、合計で7種となった。日本からCladiscus pallidicornis Corporaal & van der Wiel, 1949を初記録している。図を含めとても丁寧に纏めている。

日本産は、北海道からトカラ中之島にホソカッコウムシCladiscus obeliscus Lewis, 1892、屋久島、奄美大島八重山諸島にタイワンホソカッコウムシCladiscus pallidicornis Corporaal & van der Wiel, 1949、八丈島にハチジョウホソカッコウムシCladiscus hachijoensis sp. nov. が分布することになる。日本産と台湾産は雄交尾器の特徴などから2種群に分けられるが、日本産3種はどれもobeliscus種群。

奄美大島石垣島西表島与那国島からのホソカッコウムシの記録を今回の論文では除外しており、記録した標本を基に再同定・チェックが必要。そもそも台湾に同所的に7種中6種も分布するのに日本では側所的な感じで各所に1種ずつ分布しているのが不自然で、多くの標本を基に分布の再検討は必要だろう。御蔵島で採集した記憶があるのだが、標本が見つからない。勘違いだろうか。

どうでも良いがCladiscusという属名は好きだ。

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ホソカッコウムシ。葛の葉を後食していると見せかけ、実は葉上で死んでいるだけだった。逃げられないようにと少し緊張しながら撮った1枚。