まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

奄美で考えたこと

奄美大島に初めて行ったのが1991年夏。それから学生時代には季節を変えて何度も行った。その頃は金作原にも自由に入れたので、夜にウサギを見に行ったりもしていた。各地で伐採していて、丸ハゲの山も多かった。

2017年に久しぶりに行って驚いたのは緑が回復していたこと。もののけ姫でシシ神が朝日を浴びて破裂し山に緑が戻るがそのレベルではなく、どちらかというとナウシカで蟲使いが復活の舞を踊るレベルである。とにかく一見すると昔から樹林に覆われていたように思ってしまう。昔から残っている樹林なんてほんの一部だろうに。金作原には自由に入れないようになっていた。

「国破れて山河在り」よく自然や森林は放置しておけば元に戻るという人がいるし、奄美大島の緑が回復した状況を見ると本当にそうだと思う。しかし、その緑は元来のものとは違うものかも知れない。いきなり極相にならないことは理解しているし、遷移の進行が一様ではないことも判る。奄美大島ではどうなのだろう。

奄美大島の自然も問題が無いわけではない。いまだに見えにくいところで山を切り崩したり、谷を土砂で埋めたりしている。それが保護地区のすぐ近くだったりもする。外来種も深刻な問題だ。ただ良い方向に動きつつあるように、外からは感じる。

奄美大島は思い出もあるし思い入れもある。自分が新種記載した種は小さいものばかりだが、奄美大島の独特な自然環境と自然史の魅力を伝える存在になれば本望だ。幸運なことに、奄美大島からはあと数種の新種を記載することになりそうだ。

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