まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

クワガタモドキの幼虫

ZONG-RU LIN, FANG-SHUO HU (2019) Unravel the Century-old Mystery of Trictenotomidae: Natural History and Rearing Technique for Trictenotoma formosana Kriesche, 1919 (Coleoptera: Trictenotomidae). Taiwanese Journal of Entomological Studies 4(1): 1-8. PDF

ここ数年で一番ショッキングな論文かも知れない。Gahan (1908)が図示したものが唯一の記録であったクワガタモドキの幼虫が、100年以上の年月を経てやっと台湾の研究者らの手により明らかになった。多くの研究者がこの幼虫を明らかにしてやろうと目論みこれまでこれまでうまくいかなかったのだが、人工飼育により産卵から成虫になるまでの一連のステージを明らかにしてくれた。

アカハネムシのお化けみたいな幼虫で、朽木の中で捕食性を示すらしい。卵を塊で産むらしいが共食いもするという。こういう質感の幼虫なんだ。系統的にアカハネムシに近いかも、と言われていたのは間違いではなさそうな気がする。

東南アジアに行っていつかは採ってやろう、と夢見ていたが、先を越されて残念な反面、明らかにしてくれて嬉しい。この発見には拍手喝采を送りたい。本当にすごい。

明らかになるなら台湾か韓国の研究者かなと思っていたが(両国ともに生息するので)、その予想だけは当たった。

https://www.archive.org/download/transactionsofen1908royalen/page/n906_w421

Gahan (1908)より。この図を見て本当にこれはクワガタモドキの幼虫なの?なんて疑っていたが、結果的にこれは正真正銘クワガタモドキの幼虫だった。疑ってすみません。