まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

受託研究

大学の教員は公共団体からの受託研究として、研究費を貰うことがある。契約条件等は個々に異なるので一概には言えないが、以下は自身の体験で感じたことを書く。
県から受託研究を受けたのは、前任者からの引継ぎであった。フィールドに出て調査をして簡単な報告をあげるというものであり、私の場合は前職の仕事の延長のようなものだったので気軽に引き受けた。引き受けて驚いたことがあった。その契約金額の安さである。見積もってみるとこちらの見積もりの半分程度。間接経費をどれくらいにするかは置いておき単純に現地の人工を積み上げても赤字になってしまう。そこで県の担当者と話し合い、調査内容を簡単なものにしてできるだけ人件費も抑える形で調査することにした。それまでは、調査に学生を連れて行ったり室内での同定作業を行ったりもしていたが、それらも省略させてもらうことにした。実はこちらで見積もりを作成し、向こうからの提示額との差を埋めるべく交渉したのだが、提示額から変更不可とのことだったので、そういう形になった。もともとフィールドに出る系の仕事なので人工数で大きな隔たりがあるわけではなく、人件費単価が安いのと内業に人件費を全くみていないというところが、両者の見積額の差だと判る。
技術者の参照単価は省庁や都道府県によっても違うと思うので、国交省のものを単純に参考にはできないと思うが、大学教員だし今回の業務に関係するそれなりの資格も持っているので、主任技術者クラスで考えてもバチはあたらない気がする。それを学生のアルバイトのような人件費単価を言われて、交渉もせずにその金額で動くのは間違っていると思う。確かに大学から給料が出ており受託研究は給料に直接影響するものではないとはいえ、大学からは30%の間接経費もとられる訳で、その辺も考慮する必要があると思う。
で、何が書きたかったかと言うと、大学の教員は人件費単価や人工数なども少しは考えて業務を受けるべきで、受託研究だからといって契約以上に頑張り過ぎないようにした方が良いと思う。逆に都道府県の担当者は、安く済ませたいし有識者としてのお墨付きが得られるからと大学教員に安易に安すぎる金額で受託研究をさせるべきではない。