まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】「外来種は本当に悪者か?」

ここ2週間ほど本書をゆっくり読んでいた。かみしめるようにじっくり読んでいたわけではなく、読むのが苦痛で頁をめくるのが牛歩になっていた。何度途中で投げ出してしまおうとおもったか。
本書はとんでもない悪書で、読んだ後に本棚の奥にしまったり古本屋にすぐに売り払ったりするものではなく、今すぐに路上で破り捨てて足で踏みにじるべきものである。カバーもお洒落だし引用文献もしっかり示されていてその点だけは評価できる。実に残念だ。
この本をまともに信じ込んでしまうような人も居るかもしれない。いや、事実を客観的に書いている部分もあると思うが、この本が示す”new wild”に未来はない。
この本を読んで私は無気力になってしまったが、心底怒り出す人や心から傷つく人も居ると思う。そういう友人の顔が何人も頭に浮かぶ。そんな彼らの眼にとまらないようにと祈るばかり。ふと次の歌詞が思い浮かんだ。
“名もなき同胞(とも)が抹殺されて
 価値あるブルジョワが生き残るとするなら
 真先に死ぬのはこの僕なのさ
 僕こそ不必要なものだから”(THE BOOM「気球に乗って」より)

9/20追記
Nさんが書評書かれていた。言葉を選ばれていて私のように思考停止でめんどくさいと思わずに丁寧に書かれているのが素晴らしい。著者が生き物についてそんなに好きではないのかもというのは、面白い視点と思った。ただ、自然や環境や生き物との乖離が激しい現代ではそういう人が増えてしまうのは仕方ないのかも知れない。私も外来種についての報告や論文を書いたことがあるが、扱った外来種が可愛かったりカッコいいと思ったりしてしまう。でも心の奥で何かもやもやしたものを感じずにいられない。
本を読み返していないので間違っているかも知れないが、「保護」という単語は出てきたが「保全」という単語は使われていただろうか?原本もそうだが、訳がまずいところもあるのかも知れないとふと思った。でも読み返さない。
本は破かずにそっと学生の部屋の本棚に挿しておいた。学生がお金を無駄に使ったりしないように。うちの学生だったら本の内容を頭から信じてしまったりはしないだろう。たぶん、きっと・・・・