佐藤寛之(2016)琉球列島のススメ (フィールドの生物学) .東海大学出版会.
ぶ厚い一冊だが、いっきに読了。このシリーズはフィールド研究の苦労が主軸に書かれていることが多く、その中では異色であるがとても楽しい。学生時代にむちゃくちゃフィールドに出まくって気付くと博士号まで修得していて、巡り巡って今は環境教育に主軸を置いているという。沖縄好きとしては、あこがれるところがある反面、こんな人が自分の先輩・後輩、そして指導学生だったりしたら大変だろうな、と思う。自然環境に恵まれている沖縄に住んでいる人たちの自然との乖離を憂う気持ちは、とてもよく理解できる。泡瀬干潟についても、やんばるの大規模林道についても、話には出てくるが、頭ごなしの反対という立場ではなく現状を見据えた書き方がされていて、本全体にバランス感覚があって良い。