まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】 昆虫探検図鑑1600

昆虫探検図鑑1600 全農教 2014
まずは、このような多種が掲載されている図鑑が出版されたことは喜びたい。でもお勧めしないし、がっかりした。これは多数の生態写真を見て楽しむだけの本で、残念ながら図鑑とは違う。自らが撮影できたものを本にしたいという気持ちは理解できるが、それで図鑑とはおこがましい。ブログで十分だ。写真も良いものもあるが、イマイチなものもあるし、多種を掲載するために個々の写真が小さいのも残念。1600と言っても、日本全国から撮影できたものだけをセレクトしているので、何ら図鑑ではないし、生態写真が撮影し易いものだけを並べられても、それなりの知識のない人にとっては図鑑の役割を果たせない有害無益の書籍でしかない。たとえばエンマコガネは2種が掲載されているが、それがカドマルとスズキコであって、利用価値があるのだろうか?
あと、気になったのは大きさや出現時期、分布など。これらは全くオリジナルではなくどれかの図鑑から引っ張ってきたものだろう。これで良いの?ちなみに分布や生態の記述には間違いも多い。分布図で四国と九州を一緒にしているのも訳わからない。
同じような書籍名「日本の昆虫1400」は明らかに身近な昆虫を同定できるような本(図鑑)を作ろうとの意思が感じられ、本当に良い図鑑になっているが、200種も多いはずの本書は本当に残念だ。一般の人が1400よりも1600が良いだろうと思って後者を購入してしまうことが無ければよいのだが。
ちゃんと見ていないが、ざっと見たところは同定ミスを見つけることはできなかったが、安直に「〜の一種」としているものも多い。これで図鑑?
参考文献はイマイチで、学名は間違いや古いものも多く見られる。あくまでもざっと見ただけの感想なので、こちらが間違っているかも知れないけど、こちとら図鑑マニアで毎年相当額をつぎ込んでいるのだから、これくらい言ってもばちは当たらないだろう。
ちょっと気持ちがささくれ立ってしまったので、「アリの巣の生きもの図鑑」とかむし社の大型図鑑を眺めて気持ちを鎮めることにしよう。