まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

図版の組み方

OBのS君からの質問メールに答えた。
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ひどい修論などとは思っていませんし、力作だと思います。
ただ残念なことに出版に向けて(出版をイメージして)作業を行っていないところで、その点で図版もそうだと私は思います。
図版は投稿先のスタイルをイメージして作ります。ElytraならB5だし、ZootaxaではA4です。Elytra・Zootaxaでは1カラムですし、Ent.Sci.では2カラムです。これらは縦横比も異なりますし、”カッコいい”図版の組み方というのが当然あります。また、カラーチャージのかかるところでは、いかにカラーページを少なくするかということも重要です。一度、投稿先に考えているところのスタイルと自分の現在の原稿のスタイルが合っているのか、もし掲載されるとして図がどのように配置されるのかを、想像してみると良いでしょう。
私の指摘にもかいたと思いますが、大きすぎる図版(印刷の際に縮小率が大きく小さくなります)や小さすぎる図(印刷の際にあまり縮小されないので、線が太くなったり不本意に粗の目立つことになる;ちなみに2カラムの雑誌の場合は図を1カラムに入れ込むか2カラムに跨がせるかということができるので小さすぎる図でも対応可能)、本文の流れに沿っていない(Aという種の記載のところにぜんぜん違うC種の図が入る等)、等あるように思いますし、もし巻末に図版を固めてもらうにしても、1ページに収まりよいように組まれていないと私には思えます。
自分がこれは大きく掲載して欲しいと思っている重要な図版があったとして、それを上手く図版組みしていなかったがために印刷時に小さくされてしまい怒っている著者を見ることもありますが、たいていはそういう場合、著者に責任があり、編集側にクレームを言うのは間違っています。
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私の場合、修士論文を卒業後すぐに出版してしまいたかった。しかし修士修了後に就職することになっていたので、修士論文を取り纏める際に(図版を作る際に)、やり直ししなくて良いように図版を組もうと思っていた。それでも図番号の振りなおし作業をあとでやることになってしまったが、卒業1年以内に論文を出版できた。もしそのことを考えず修士論文の図版を作っていたら、図版作成などを、ただでさえ何も判っていない社会人1年目に仕事の合間でやりきることはできなかったと思う。反省点として、縦横比を見切るのが甘く、いくつかの図について自分の望む大きさに組まれなかったこと。その時は編集側(U先生)に愚痴を言っていたりしたが、今見返せばどちらが正しかったかは明らかな気がする。
記載の論文の場合、「図が命」という面があるので、こだわってもこだわりすぎということは無いと思う。むしろ私は分類学者の中ではこだわっていないほうかも知れない。