まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

【書評】九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑

三枝豊平・紙谷聡志・宮武頼夫・大城戸博文・杉本美華(2013)九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑.190pp., 櫂歌書房
”小型昆虫類が、環境調査で同定困難なために調査対象になりにくい現状を踏まえて、このような状況を少しでも改善しうる手引書を刊行するのが適当であると考えた。”(序文より)
素晴らしい。本書はまさにその役割の本であり、西日本であれば、ウンカ、ヨコバイ、キジラミ、そしてグンバイ(タイトルには出ていないけど)の手引書にはなるだろう。しかし、多くのグループ(種)については、本書の絵合わせだけでは正確な同定が出来ず、他の資料も参考にしつつ、調べねばならない。加えてそのグループの分類の現状を把握しておくことは必要なスキルとして求められる(例えば、このグループには他にも近縁種が多いんだよねぇ、とか)。つまりは、素人向けの本ではなく、玄人が正確に同定された比較標本と見比べる時に標本ではなく本書の綺麗な写真と見比べる、そんな用途に使われることが多い本だと思う。
ちょっとお高いが(6800円)ぜひとも手元に置いておきたい1冊である。発行部数も少なそうだし。私は間違って2冊購入してしまった・・・・
キジラミは50種が図示されている。林さんのキジラミ図鑑と共に並べてみると、日本のキジラミは全て同定できるような錯覚に陥る(決してそんなことは無い)。それに反してグンバイは10種のみの掲載。少なすぎる。