まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

そして父になる

子供たち2人が寝たので、嫁さんにブーブー言われながら一人でレイトショーを衣山に見に行く。
見た感想は、映画をTV用にカット・編集したものを見せられたような感じで、これを映画館で見たものだから、まったくすっきりしなかった。小説で描かれた伏線や心の微妙な移り変わりなどが全く表れてこず、全てが中途半端になっていて残念。映画を見てストーリーが全て理解出来た人はどれくらいいるのだろうか?また、小説では明らか過ぎるほどの二項対立をいくつも示して読者に考えさせるところがあったが、それらも中途半端ですっきりしなかった。例えば、主人公(福山雅治)は最初のうちは仕事人間で父親失格なことばかりしている嫌な人間であると小説では描かれていたが、映画では意外にマイホームパパぶりで子供への目線も優しく、後半への劇的な変化が中途半端に感じた。これなら今の俺の方が父親失格だよ、と落ち込むレベルに福山が最初から意外と良い父親だった。2時間に押し込めるのが難しかったのかも知れないが、もう少ししっかりしたストーリーを組んで欲しかった。福山に嫌なやつを徹底的に演じさせて欲しかった。もしかしたら、小説を先に読んだ私の作戦が良くなかったのかも知れない。
結局、小説では泣けたが映画では泣けなかった。
子供を含め出演者の演技はうまかったと思う。そして微妙な季節感を自然を使ってうまく表現できているところも良かった。ちょっと微妙なところもあったが、許される範囲。たぶん登場する小道具などにもいろいろ気を使っているようだったが(車も小説で出てくるように国産の高級車)、途中で出てくる昆虫調査員(宇都宮の研究所のビオトープで昆虫調査している人)はどうでも良い役柄ななんだけど、網も着ている服も持ち物も全てリアリティが無く、その道の人間としてはげんなりした。15年経過したビオトープとのことであったが、もっと歳月が経過した雑木林のようにも感じた。