まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

決定版!日本のウスバカゲロウ

吉富博之・原有助・松野茂富,2013.愛媛県のウスバカゲロウ 付・愛媛大学ミュージアム所蔵の標本リストと日本産種リスト.面河山岳博物館研究報告,(5):1-10.
林成多,2013.島根県鳥取県西部のアリジゴク.ホシザキグリーン財団研究報告,(16):189-205.
待ちに待っていた報告が2本出た。前者が成虫、後者が幼虫を扱ったもので、共に地域ファウナに特化したタイトルであるがさにあらず。これが現時点での日本産ウスバカゲロウ(成虫、幼虫とも!)を同定する上で最も使える資料となった。前者は日本の新産地記録も多く掲載されているし絵解き検索もある。現段階での日本産種の分布と最新の学名もリストアップされている。しかし写真が無いのが欠点。後者は幼虫11種を扱っている。写真も綺麗だし絵解き検索もあるしで素晴らしい出来。カスリウスバの幼虫はこの本で初めてしっかり認識された。幼虫の全形写真のプレート見ると集めたくなってしまいます(いや私は集めているけど)。
これはブーム来てますよ。
ちなみに決定版と書いたが、日本産のこの科は、まだまだ分類学的問題をはらんでおり、やるべきことが残されている。幼虫では、比較的普通のモイワウスバカゲロウの幼虫が未解明なのが一番の課題。本土産ではヒメウスバも未解明。
それにしても、私と林さんがほぼ同時に独立的にこの仲間に興味を持ち調べ始め、ほぼ同時に報告を出すというのは運命的なものを感じます。しかしアプローチの仕方が違っていて面白い!