まるはなのみのみ

日記です。ときどき意見や感想。

ハナムグリトラップ

César M. A. CORREA, Anderson PUKER, Marco A. LARA, Cassiano S. ROSA and Vanesca KORASAKI (2019) Evaluation of baits for trapping of Neotropical flower chafer
beetles (Coleoptera: Scarabaeoidea: Cetoniinae). Entomological Science, 22: 365–372.

Anderson PUKER, César M. A. CORREA, Adriano S. SILVA, Joao V. O. SILVA, Vanesca KORASAKI and Paschoal C. GROSSI (2020) Effects of fruit-baited trap height on flower and leaf chafer scarab beetles sampling in Amazon rainforest. Entomological Science (2020), early view.

どちらもブラジルでハナムグリトラップの効果について調査したもの。

前者はトラップには、バナナ+さとうきびジュース、パイナップル+さとうきびジュース、さとうきびジュースのみの3つが良かったという結果。後者はトラップの設置高さは10.5mが良かったという結果。

 

日常

絶賛編集作業中。ちょっと問題のある原稿が多くていろいろ対応。某先生の原稿はレフェリーから一応のアクセプト判断まで出たのだが気になって、引用文献をネットから見つけてみてみるとミスを見つけ修正するともっと大きなミスを見つけ、結局著者と相談し1章分を削ることになった。別に相談した方から、それは編集の仕事ちゃう、と言われた。まぁ勉強になったのでよし。

ICZNの条43の同位の原理って、さらりと書いていて何が何だか理解しにくいけど、とっても重要なことが書いてある。そしてこれを理解できていない人が多い。大久保(2006)などを参考に実際の困った例に当たらないと自分のものにならないけど。

新版画

こういうカッコいい人がたくさん出てくる話すき。

それにしてもJobsの当時の名刺なんてすごい価値ありそう。名刺コレクターなので、いくつか価値ある名刺を持っているけど自慢できる人と機会がない。まぁ価値ある名刺といっても亡くなった大御所の虫屋だったり今は有名になった人の昔の所属の名刺だったりなので、その業界での価値しかないけど。

www3.nhk.or.jp

日常

朝一で標本室。用事を済ませた後に標本調査。昨日調べて検索表を作成したグループの標本を検討。体長はそんなに大きくないけど斑紋が顕著なので顕微鏡を覗かずに判るはず。その科の入った標本箱にそのグループは小さなユニットボックス5個、つまり5種に分けられていた。2つは検索表ですぐに種名が判り種名のメモを付けておく。検索表使えるじゃん。自画自賛。残り3つは斑紋だけでは判らない。ということは未記載種だろうか。雰囲気もちょっと違う。顕微鏡を覗く。あれ、何か違う。と思ったら、残りの3つは違う科の種であった。それも3科。笑ってしまった。確かに似ているよな。それもそれぞれ全部別の科というのがすごい。触角や脚を見ると簡単に区別できるのだけど、簡易なソーティングだとやはり似ているので混乱してしまうのだ。自分を含め歴代のうちの研究室の甲虫屋が気付いた時にソーティングしていて間違いが蓄積されたのだろう。

世界に9種いて、うちには2種しか所蔵が無いのか。ちょっと論文化には厳しそう。面白い系統位置の面白いグループだし最近の分類学的研究もほとんどないし、カラー写真もほとんど出てこないので研究する意味はあると思うのだけど。検索表作ってみましたというのだけでは弱いし。論文化するかも知れないので、いちおう科の名前などは伏せておく。このグループは幼虫が未記載ということを昨日知った。狙って採ってみたいものだ。

午後からは取材対応や授業準備など。ふと午前中のグループを自分でも採集している記憶が蘇り写真を見直してみるとやはり記憶通りのところで見つけていて生態写真があった。標本はどうしたのだろう。おそらく標本化していないだろうと思い、タトウとバイアルをひっくり返してみるとバイアルの中で見つけた!これで3/9。残り6種は国内にも標本は無いのだろうな。珍品だしマイナーな科だし。あるとすれば九大かな。

f:id:yoshitomushi:20200525224854j:plainよりによってこの1枚しか写真が無い。もう少し真面目に撮影しておけばよかった。この日は天候も悪くて気分が乗らなかったけど後で考えると面白いものがいろいろ採れていた。

夜は編集作業。

オフ

午前中は娘を河川敷に連れて行き練習。河川敷ではたくさんの家族連れがBBQしたり遊んだりしていた。この陽気だし天気だし自粛明けだし仕方ないけど、これで良いのだろうか。最近、いらいらマックス。良くない。

 娘が楽器の練習をしている横で、前から気になっていた某属の検索表などを書いてみた。何とか研究できるかも知れない。うちのコレクションに3,4種は入っていたと思うし自分もどこかで採集していたので標本を整理してみてみるのが楽しみ。その後、久しぶりに書店に行き、ナショジオだけ買って帰る。

午後も娘と娘の友達を連れて近くの公園へ。蚊が多く閉口したが、こんな時期になったんだな。

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夜は編集作業など。

明日から小中学校は通常登校となる。授業も一部を除き普段と変わりないようだ。世間が日常を取り戻しつつあるところ、大学だけが未だに閉鎖しているのが、何とも違和感を感じる。

【書評】新種の発見

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とっても良い本。お勧め。途中で採集方法の話が出てきたときにはどうなるのか心配だったが、全体を通してうちの研究室の学生ならこれくらいを基礎知識として知っていて欲しいというような内容ばかりであった。出てくるぞ出てくるぞ、と思っていたサザエは後半の方でやはり出てきたけど、丁寧に説明しすぎていて、読者に理解してもらえるか判らないところもあった。自分が講義で話すときはもっと端折ってしまっている。第5章の「これからの分類学」は分類学者必見。勇気が湧くような内容だ。私は悲愴的に思っているところもあって、著者とは異なる考えもあるが、勉強になった。

途中、学名が《》で括られていたり年号が数字と漢字混じりだったりするところが気になったりもしたが、それ以外は読みやすかった。この内容が新書で読めるのは本当に嬉しい。